士業事務所がAIでブログ記事を下書きする前に、直近半年に同じ質問が繰り返されたか、その答えを有資格者が口頭で説明しているか、公開前に有資格者が止められるかを確かめます。そろわなければ、制度の一般解説を増やすためにAIを使う必要はありません。

この記事の「相談につなぐ」は、読者が自分の事情を確認したいときに、相談先と準備する情報が分かる状態を指します。記事の公開で相談件数や検索順位が上がるという意味ではありません。資格ごとの業務・広告規程は、所属会の規程で確かめてください。

半年分の相談記録から重複質問の上位3つを出す

記事の候補は、直近半年の相談記録を一件ずつ見て、独立した相談で同じ問いが何回出たかで選びます。集計の開始日と終了日を先に決め、電話、面談、メール、フォームの記録を合わせます。

半年分の相談記録を同じ問いごとに束ね、上位の質問を選ぶ様子

記録する列 数え方
相談ID・日付・経路 同じ案件の電話と後日のメールを一件にまとめられる識別子を付ける
質問と質問グループ 必要な説明と確認事項が同じ問いを同じグループにする
新規/既存 新規相談と既存顧問からの質問を分ける
説明者・説明資料 誰が何を口頭で答えたか、承認済み資料があるかを記す
記事化の判断 重複質問、口頭説明、公開前確認がそろうかを記す

一つの相談IDでは、同じ問いを何度聞かれても一回と数えます。一件の相談に異なる問いが二つあれば、それぞれのグループに一回ずつ入れます。似た言葉でも、確認する事実や答えの範囲が違えば分けます。たとえば「初回相談に持参する資料」と「受任後に提出する書類」は、同じ「必要書類」という語があっても別の問いです。

集計後、独立した相談IDの数が多い順に上位3つを書き出します。新規相談につなげる目的なら、新規相談の件数で順位を付け、既存顧問の質問数を合算しません。次は自所の記入欄で、実在する事務所の相談件数を示すものではありません。

順位 自所で確認した質問 独立した相談ID数
1 (記入) (記入)
2 (記入) (記入)
3 (記入) (記入)

この企画では、半年間に独立した相談で同じ質問が二回以上あり、事務所内で説明した記録もあることを記事候補の最低線にします。二回は集客効果を示す統計的な基準ではなく、「繰り返し」を確認するための作業上の線です。該当する問いがなければ、今回は新しい記事を作らず、既存の案内ページや面談時の説明を整えます。

口頭で答えている部分だけをAIの下書き材料にする

選んだ質問について、有資格者がすでに繰り返し説明している共通部分を書き起こします。AIに任せるのは、その説明を読者が追いやすい順に整える作業です。未確認の制度解釈や、相談者ごとに変わる結論を補わせません。

有資格者の口頭説明メモから共通部分を取り出し、記事の下書きに整える場面

たとえば「初回相談までに何を整理すればよいか」が上位に入った事務所なら、説明者に次の四つを確認します。質問は架空の例で、特定の事務所で上位だったという意味ではありません。

  1. 最初に伝える短い答えは何か。
  2. 相談者の事情で案内が変わるのはどの部分か。
  3. 面談前に確認している情報や資料は何か。
  4. 記事では答えを確定できず、有資格者へ引き継ぐ境目はどこか。

架空の編集例です。説明メモに「最初に相談の目的と希望時期を聞く。必要な資料は内容を聞いてから伝える」とあれば、記事には「相談したいことと希望時期を整理してください。必要な資料は相談内容を確認してから案内します」と書けます。AIの下書きにメモにない資料名が加わったら、その部分を削ります。

下書きの材料には、事務所で確認済みの説明メモ、参照する一次資料、その資料の確認日を付けます。AIが新しい事実や出典を足した箇所は採用せず、原典を開いて確かめてから書き直します。Googleの検索向け公式ガイド(Google Search Central)も、生成AIは独自内容の構成に役立ち得る一方、読者への付加価値がない大量生成や不正確な内容に注意を促しています(生成AIによるコンテンツについての案内)。

相談記録をそのまま外部AIに貼り付ける前に、入力する情報を絞ってください。個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が個人情報を含む指示を入力する場合、特定した利用目的の達成に必要な範囲内か十分確認するよう求めています。また、本人の同意をあらかじめ得ずに個人データを入力し、そのデータが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法に違反する可能性があると注意喚起しています。そのような入力をする場合には、サービス提供者が当該データを機械学習に利用しないことなどを十分確認するよう示しています(「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」別添1、(1)①②)。氏名を消しても案件の組み合わせで相談者を推測できるなら、個別事案は下書き材料から外します。

有資格者の承認がない記事は公開できない流れにする

AIの文章が読みやすくても、公開前には扱う分野の有資格者が、事実、答えの範囲、相談への案内を確認します。担当者名と承認日を残し、下書きを書く人と公開ボタンを押せる人を分けます。

下書きと出典を有資格者が照合し、承認後だけ公開へ進む編集工程

段階 担当する人 次へ進む条件
題材の確定 相談記録の担当者と有資格者 上位質問の集計と口頭説明を確認する
AI下書き・編集 編集担当者 個別事案を入れず、出典にない文を区別する
専門確認 その分野の有資格者 事実、適用条件、出典の確認日、相談で判断する部分を記録する
表示確認・公開 公開権限を持つ担当者 承認記録と所属会の規程確認がそろう

「有資格者が一度読んだ」だけで済ませず、直した箇所と公開する版を結び付けます。承認後に見出し、成果表現、相談への誘導文を変えたら、変更した版を再確認します。法令や事務所の取扱いが変わった場合に誰が見直すかも、公開時に決めてください。

広告や業務範囲の扱いは資格と所属先で異なります。この記事で許される表現を断定せず、自所が所属する会と連合会の現行規程・指針を有資格者が確認します。所属する会と連合会の公式サイトで、自所に適用される会則、業務広告の規程や指針の最新版を探し、記事の表示と照合してください。見つからなければ所属会に問い合わせ、確認した資料名、改定日、確認日を承認記録に残します。

記事以外も含めてAI出力の確認担当と記録を決めるときは、AI出力の誤りを確認する社内ルールも参照してください。

相談への案内は、記事で答えきれない条件を示す

記事の末尾には、共通の説明で分かることと、個別事情を聞かなければ判断できないことを分けて書きます。事務所が受け付ける相談の範囲、相談時に用意してほしい情報、連絡方法を実際の業務に合わせて示せば、読者は次の行動を判断できます。

共通の説明を読んだ人が自分の条件を整理し、必要な場合に相談窓口へ進む場面

前章の架空の質問例なら、記事には共通の準備事項を書き、事情によって変わる資料や手続の可否は記事内で確定しません。「何を相談したいか」「いつまでに判断が必要か」など、事務所が実際に受け付け時に聞く項目を案内します。特定の資格で必要な資料を決める例ではありません。

公開後に見る数字も分けます。記事の閲覧、記事から相談窓口のページへ移った回数、相談時にその記事を見たと申告した件数は、それぞれ別の記録です。記事公開前の相談件数と比べるなら、受付経路や季節要因も残してください。記事経由の申告があっても、それだけで記事が相談を増やしたとは判断できません。

本記事は一般的な情報提供です。個別の税務・法務・申請可否の判断は、税理士・弁護士など各専門家にご確認ください。

参考リンク確認日: 2026年9月29日。