商談メモを顧客台帳へ転記し、次の予定を調整し、社内向け資料を作る。GPT-6 Astraで試したいのは、こうした画面をまたぐ仕事です。最初の到達点は、本番の自動更新ではなく、元資料と照合できる更新案や下書きに置きます。

ChatGPTの対象プランにはAstraの利用が既存の枠内で含まれます。ただし、使う画面と契約で条件が違い、自社システムからAPI(AIをプログラムで呼び出す仕組み)を使う料金は別です。中小企業の試行では、任せる工程・請求先・実行を許す操作を一緒に決めます。

画面操作を含む業務を、更新案まで試す

OpenAIはAstraについて、フォーム入力、CRM(顧客情報や商談を管理するシステム)の更新、予定整理、調査から文書編集ソフトへの下書き、文書・表計算・プレゼン資料の作成を挙げています。回答文を受け取るだけでなく、操作と成果物づくりをつなぐ能力を強化したという発表です。

パソコンで作業する担当者の周囲に、調査資料、顧客カード、予定表を配置した立体イラスト

出典はOpenAIのGPT-6 Astra公式発表です。ここで挙げた機能や性能は同社の説明であり、自社の業務での成功率や時間削減を確認した結果ではありません。画面操作自体が今回初めて可能になった、という意味でもありません。

変化を確かめる単位は、職種全体より「資料を読み、別の画面へ反映する工程」です。次の表は公表機能をもとにした、当記事の試行提案です。

業務 最初に試す到達点 人が確かめる箇所
商談メモの転記 架空の顧客台帳への更新案 顧客の取り違え、未確定事項の補完
日程調整 テスト用予定表で候補を整理 時間帯、参加者、既存予定との重複
取引先候補の調査 出典付き比較メモを下書き保存 情報時点、原典との一致
社内報告資料 許可した素材から資料のたたき台 数値、参照元、社外へ出せない情報

人が見ながら数件を試すなら、利用可能なChatGPT Workが候補です。Workは複数工程の仕事や成果物づくり向け、Codexはソフトウェア開発向けと公式ヘルプで区別されています。自社システムへ組み込みたい場合は、APIでの実装を別途検討します。

どの経路でも、使いたいアプリを操作できるか、会社がそのデータの接続を許しているかは先に確認します。機能紹介にCRM更新があっても、自社のCRMとの接続や正しい更新まで保証されたわけではありません。

ChatGPTの既存利用枠に含まれるが、使う画面で条件が違う

すでに対象のChatGPTプランを契約していれば、Astra専用の別契約を一律に追加する話ではありません。既存枠で使える範囲と、追加利用のために購入するクレジット(利用残高)を分けて確認します。「含まれる」は無制限という意味ではありません。

契約内の作業を入れるトレイと追加購入用のコインを仕切りで分けた立体イラスト

公式発表の提供条件は、限定した組織から始め、Plus・Pro・Business・Enterprise、OpenAI API・Microsoft Azure・AWS Bedrockへ段階的に広げる内容です。Enterpriseでは発表時点のAstraアクセスは初期状態で無効で、管理者による有効化が必要とされています。

2026年9月13日に確認したChatGPTのモデル別ヘルプでは、通常のChatにある「GPT-6 Pro」はAstraを基盤とし、Pro・Business・Enterpriseが対象です。PlusのAstra利用はWorkとCodexに含まれます。PlusでChatのモデル一覧だけを見て、Astraが契約対象外だと判断しないようにします。

Businessは、利用者ごとに割り当てる契約枠を「席」と呼び、StandardとPremiumで利用枠が違います。

契約・席の種類 Work・CodexでのAstra利用枠
Plus、Business Standard 既存枠のうち、限定されたAstra利用を含む
Pro、Business Premium Work・Codexの既存枠全体をAstraに利用できる
Enterprise 管理者のモデル利用許可と、自社の契約条件を確認

枠の扱いはWork・Codexの利用説明、Businessの席の違いはモデルと上限の説明が根拠です。Businessでは、枠を使い切った後の追加利用に、購入済みクレジットの残高と組織の支出設定が関係します。追加購入は任意です。

利用枠の消費は、依頼の長さ、AIに渡す情報と返答の量、どれだけ深く考えさせるかの設定で変わります。「月に何件の商談を処理できる」と固定件数には換算せず、利用画面の残量と試行記録を見て判断してください。表示されない場合は、段階展開の状況、アプリ更新、管理者の利用許可を確かめます。

API料金は別会計で、完了1件の使用量を足す

自社システムからOpenAI APIの gpt-6-astra を呼び出すと、ChatGPTの月額枠とは別の従量料金がかかります。標準料金は100万トークンあたり入力10米ドル、出力50米ドルです。トークンはAIが入出力の量を数える単位で、文字数と同じではありません。

入力と出力を表す異なる大きさの箱を積み、利用料金のトレイへ集める立体イラスト

公式APIモデルページの料金欄で、次の単価を2026年9月13日に確認しました。キャッシュは、同じ入力を再利用するための仕組みです。

OpenAI APIの区分 100万トークンあたり
通常入力 10米ドル
キャッシュ読み出し 1米ドル
キャッシュ書き込み 12.50米ドル
出力 50米ドル

入力が27万2,000トークンを超える要求では、その要求全体の入力・キャッシュ単価は2倍、出力単価は1.5倍になります。大量の資料を渡す設計では、この長文条件も実装担当者に確認してください。

1件の完了までを合計する計算例

当社試算

標準処理で、修正・再実行を含む完了1件の合計を入力2万トークン、出力2,000トークンと仮定します。月100件なら、モデルの入出力料金は月30米ドルです。

1件: 20,000 ÷ 1,000,000 × $10
   + 2,000 ÷ 1,000,000 × $50 = $0.30
月額: $0.30 × 100件 = $30

これは料金の読み方を示す架空の使用量で、業務の相場や当社実測ではありません。キャッシュ、長文割増、高速処理(Fast)、ツールの追加料金、税、実行環境、実装費、人の確認工数は含めていません。画面操作では、画面の画像や途中経過も入力になります。最初に渡すメモだけで見積もらず、完了までの全呼び出しの利用量を記録して、実際の予算に入れ直します。

発表にあるAPIのFastモードは、標準処理に対して最大2倍の速度で、価格は2倍という説明です。常に仕事全体が半分の時間で終わる保証ではありません。また、Business等のクレジット料金表では、Work・CodexのAstra Fastは標準の2.5倍です。APIの倍率をChatGPT側の追加利用へ流用しないでください。

公式のWork・Codex利用説明でも、APIキー利用とChatGPTログイン利用で請求経路を区別しています。AzureやBedrock経由なら、その契約先の料金を確認します。ここで示したOpenAI直接提供の単価だけでは見積もれません。

なお、APIを呼ぶだけで業務画面が自動的に用意されるわけではありません。Computer useの開発者向け説明では、操作する環境と実際に操作を実行する仕組みを開発側が用意します。外注見積りでは、モデル使用料と、接続・承認・記録・復旧の実装費を分けてもらいます。

権限は指示文と設定の両方で区切る

「顧客台帳を更新して」と頼む前に、読める資料、書ける場所、外へ送ってよい情報を限定します。指示文に禁止事項を書くだけでなく、使うアプリや実行環境の権限でも止められることが条件です。

台帳の更新案を確認する担当者と、鍵のかかった承認ゲートを描いた立体イラスト

OpenAIのComputer use安全指針は、隔離した環境、許可するサイト・操作の限定、重要な操作の確認、実行上限と中止、実際の結果の検証を挙げています。利用者や実装担当者は、ページや資料内の文章が作業の許可を上書きしないように制御します。

とくに、機密情報をフォームへ入力する行為も送信に含まれます。「送信ボタンを押す前だから安全」とは扱えません。最初は架空データを使い、本番では入力先のサービスにその情報を渡してよいか、入力前に確認します。

架空の商談メモから、更新案だけを作る

以下は当記事が作った架空の依頼と編集見本です。Astraを実行して得た結果や、顧客の導入事例ではありません。テスト用の顧客台帳と保存先を用意し、本番CRMへの接続は外した状態を想定します。CRMを使っていなければ、架空データだけを入れたExcelの顧客台帳を対象にしても構いません。

デスクトップ版のWorkが利用できる場合は、テスト用フォルダを開き、架空のメモと台帳を用意します。下書きの保存先を同じフォルダ内に指定し、次の依頼を渡します。フォルダやアプリを利用する許可が出せない場合は、接続せずに管理者へ確認します。

対象: テスト用の青空商店(架空)の商談メモのみ。
台帳の現状: 商談状況は「未対応」。CRM台帳の再連絡日は空欄。
メモ: 商談状況は「資料確認待ち」に変わった。再連絡日は未定。
価格変更の合意はしていない。
依頼: メモを読み、顧客台帳の更新案を下書きフォルダへ保存する。
不明な項目は推測で埋めず、確認事項にする。
禁止: 本番CRMへの書き込み、メール送信、予定招待、他の顧客の閲覧。
停止: 対象外の資料や追加権限が必要なら、作業を止めて知らせる。
完了報告: 保存先と、変更案・変更しない項目・確認事項を示す。

この入力に対し、人が照合する編集見本は次の内容です。

項目 更新案・確認事項
商談状況 「未対応」から「資料確認待ち」への変更を提案
再連絡日 空欄を維持。候補日を営業担当へ確認
価格欄 変更しない
参照元 指定した架空の商談メモ

見るのは文章の自然さだけではありません。未定の日付を勝手に入れていないか、対象外の顧客を読んでいないか、指定先に保存できたかを、台帳や保存ファイル側で確かめます。未定の日付が埋まっていたら、該当箇所を示して「日付を空欄に戻し、確認事項へ移す」と修正を依頼します。試行記録には、人の確認・修正時間と、利用枠の消費またはAPI費用も残します。

この例で更新案を確認できても、本番への反映は別の段階です。変更対象と差分を人が承認し、元へ戻す記録と停止担当者を用意してから許可を広げます。実行の中止方法を試せない、操作履歴を追えない、閲覧範囲を絞れない場合は、本番への接続を保留します。

Astraで何を試すか決まったら、利用できる画面と残り枠を確認し、上の依頼を自社のテスト環境に合わせて書き換えるところから始められます。